「実際に働いたことのある人の話を聞いてみたい。」
ぼくは社員数が数千人規模の大企業から社員数十人程度の小企業へ転職し、大企業と小企業での開発を経験しました。
同じシステム開発でもエンジニアの仕事内容で差がでるのは、企業規模よりもむしろ開発システムの規模です。
そこで本記事では、大企業と小企業での仕事内容の違いをエンジニアの観点から解説します。
記事を読み終えれば、大企業と中小企業でのエンジニアの働き方がイメージできます。
それではご覧ください。
タップできる目次
企業規模だけでは仕事内容に違いがでないワケ
社員数が多い会社、全国に拠点がある会社でも、開発するシステムの規模は大きいとは限りません。
そして大企業でも、実際に働く部署は少ない人数で組織されているため、現場だけみると中小企業とあまり変わらないんです。
大企業は小さな部署の集まり
一般的な企業では、ターゲット顧客や取り扱う技術によって部や課の体制に分けられています。
企業によって差はありますが、1つの課でおよそ20~30人程度というところでしょう。
なぜ20~30人に分けられているかというと、1人の管理者で管理できる適切な人数と言われているからです。
たとえば学校のクラスは大体30人前後であることが多いですよね。
管理できる1グループの人数は、学校のクラス人数が適切と言われています。
副担任を置いたり35人学級が議論されているなど、適切な人数に向けて動いていますね。
社員数数千人の大企業といっても、20人~30人ほどの部署が集まって会社となっています。
部署内だけで開発するシステムも
システム開発案件の規模が小さく自分たちでカバーできるスキルの案件であれば、部署内のメンバーだけで対応します。
小規模案件なら数人でも対応できるので、他部署をまたいで要員を集める必要もありません。
開発案件メンバーはシステム全体を把握し、設計からプログラミング、テストまで一連の作業を担当します。
大規模案件なら部署をまたいで人が集まる
システム開発案件の規模が大きく、自分たちだけでカバーできないスキルが必要であれば部署をこえて対応します。
大規模案件だとスキル要件の幅も広いので、一つの部署だけではまず対応できません。
ぼくが経験した実際の大規模案件では、全国のいろんな部署から数百人レベルでエンジニアが集められプロジェクトが作られました。
プロジェクトでは役割ごとにチームがきっちり分けられます。
担当者レベルなら、特定の機能に特化したプログラミングやテストなどが割り当てられます。
担当できる部分はシステム全体でのごく一部です。
ただし、小規模案件にくらべて大規模案件は少ないため、大規模案件の開発を経験できる機会は限られてきます。
部署単位で見れば中小企業と変わらない
大企業も中小企業も、末端の部署で考えるとシステム開発の仕事内容は変わりません。
上で書いたように、企業規模が大きくても小さな開発案件では部署内の数人や十数人ほどで開発を行います。
システム全体を把握し、設計からプログラミング、テストまで一連の作業を少人数で行うので、会社規模によらずに開発内容はほとんど同じです。
また、多くの企業では部署ごとに利益を管理し、売り上げ目標も部署単位で決められます。
まさに会社の部署は小さな会社と同じだといえます。
エンジニアの仕事内容に影響するのは何か
前の章で書いたように、企業規模の違いだけではエンジニアの仕事内容にそれほど違いはありません。
ぼくの経験から、エンジニアの仕事内容が変わる主な条件は以下です。
- 開発案件の規模
- プロジェクトでの立場
- 職種
それぞれ見ていきましょう。
開発案件の規模でエンジニアの仕事は何が違うのか
開発案件の規模が変わると、1人のエンジニアがカバーできる範囲が違ってきます。
たとえばm数十人~数百人レベルの大規模案件では、1人の開発担当者が受け持つのはシステム全体のわずか一部です。
一部の機能でコーディングやテストなどを行い、作業工程もプログラミングやテストを担う場合がほとんどです。
一方で数人レベルの小規模案件では、少ない人数で開発するため皆でシステム全体をカバーします。
要件定義、設計からプログラミング、テストまでをメンバー全員で進めていくことになります。
1人のエンジニアが見る範囲が変われば、担当する作業工程も変わり仕事内容も変わるわけです。
立場が違えばやるべき仕事も変わる
同じエンジニアでも、プロジェクトでの立場が違えばやるべき作業が変わってきます。
それは立場の違いでプロジェクト内の役割が変わるからです。
たとえば、マネージャーやリーダークラスであればプロジェクトやチームをまとめて開発を進める仕事がアサインされます。
進捗管理を行い開発を進め、工数や原価管理でプロジェクトの健全性をチェックします。
一方、プログラマやテスターであれば現場でのプログラミングやテストが主な仕事です。
設計にしたがってコーディングを行い、テスト仕様書をもとにシステムを動かして動作確認を行います。
なかにはプロジェクト管理を行いながらコーディングもするような、プレイングマネージャーがいることもあります。
ぼくも管理しながらの開発を何度も経験しました。
このように、同じ開発プロジェクトでも役割が違えば仕事内容は全然違ってきます。
職種によってエンジニアの仕事は全然違う
ITエンジニアと言ってもいろんな職種のエンジニアが存在します。
そして職種が違えば仕事内容は大きく変わります。
ぼくもいろんなエンジニア職を経験しましたが、職種が変わるたびに必要なスキルや知識が変わるため大変でした。
ここではぼくが経験した職種を紹介します。
ソフトウェア開発エンジニア
お客さんからソフトウェア開発の依頼を受けシステム開発を行うエンジニア。
要件にしたがってシステム設計を行い、設計内容をもとにコーディング、テストを行うのが主な仕事です。
プログラミングスキル、設計スキルが必要になりDBやWebの知識も重要です。
インフラエンジニア
サーバやネットワークなどソフトウェアが動作するための基盤を構築、運用するインフラエンジニア。
インフラ要件に従って設計を行い、サーバの組み立てやOSインストール、ネットワーク環境構築を行うのが主な仕事です。
当然ながらサーバやOS、ネットワークの知識が必要な職種です。
社内SE
自社内の情報システムの保守運用を行う社内SE。
会社の経営方針に基づいて必要な情報システムを企画・立案し、導入から運用までを実現していくのが主な仕事。
システム開発やインフラの知識に加え、社内に必要な情報システムを企画するスキルも必要です。
社内SEと開発エンジニア、インフラエンジニアの違いは別記事で詳しく解説していますので、詳しく知りたい方はこちらを覧ください。
大企業と中小企業で違うことは?
ここまで、エンジニアの仕事内容は企業規模の違いだけでは変わらないことを書きました。
ただ仕事内容以外を見ると大企業と中小企業で違う点は存在します。
ぼくは社員数数千人の大企業から社員数数十人の小企業へ転職しましたが、「大企業と中小企業ではやっぱり違うな。」と感じることは多くありました。
福利厚生の手厚さは大企業が有利
福利厚生の面では圧倒的に大企業の方が充実しています。
やはり大企業は資金面での体力があるので、福利厚生へ力を入れる余裕があります。
こちらに一例をあげてみます。
- 全国に保養所があり社員が自由に使える。
- 住宅補助が受けられ家賃が安くすむ。
- テーマパークなどが格安で利用できる。
もちろん中小企業でも福利厚生が充実している会社もあるでしょう。
でも全国の保養所などは、日本中に事業所がある大企業ならではです。
福利厚生は仕事内容に直接関係なくても、社員の働きやすさやストレス軽減には大切な制度です。
中小企業では社内事務のシステム化対応の遅れも
中小企業では社内事務処理が紙ベース、手処理前提の業務がまだまだ残っています。
社員数が少ない中小企業では社内システム専任の社員がいないので、なかなかシステム化へ手を回す余裕がありません。
たとえば書類のワークフローも、印刷した紙を回覧ボードに乗せて印鑑を押していく運用です。
また、設計書のレビューも印刷した紙をメンバーに配って行います。
もちろん、大企業でもまだシステム化が出来ていない部分も少なくないでしょう。
でも、情報システムに投資できる余裕がある大企業の方がシステム化が進んでいる傾向なのは、間違いありません。
まとめ:企業規模だけでは仕事内容を判断できない
中小企業に比べると大企業の方がよいイメージがあるかもしれません。
でもエンジニアの仕事内容は企業規模だけでは決まらないので注意してください。
本記事で書いた大企業と中小企業の違い、エンジニアの仕事内容の違いはあくまでぼくの経験の範囲です。
実際の現場ではもっといろんな場面で違いがあるでしょう。
大企業から中小企業へ、またその逆の転職を考えたとしても、自分の経験だけではなかなか仕事内容の違いは判断できないものです。
そのため、ぼくは転職エージェントを使って自分の経験だけでは分からない違いを知ることができました。
できる限りの方法を使って多くの情報を得てください。
そして自分に合った仕事を見つけ転職を成功させましょう。
それでは。