「なんでそんなに人気があるの?」
近年のエンジニアの転職市場では、転職先として社内SEが人気だといわれています。
ぼく自身もSIerから社内SEへ転職しました。
ではなぜ社内SEはそんなに人気なのでしょうか?
そもそも本当に人気なのでしょうか?
前職のSIerから現在は社内SEとして働いているぼくの経験からも、エンジニアの転職先として社内SEが人気な理由は分かります。
そこで本記事では、社内SEがエンジニアの転職先として人気がある理由を解説します。
実体験をもとに書いていますので、本記事を読んでいただければ社内SEが魅力的にみえる理由がわかります。
人気の理由がわかれば、あなたが社内SEを転職先に選ぶべきか迷いがなくなります。
それではご覧ください。
タップできる目次
SIerなど請負開発からの受け皿に
SIerエンジニアから見て社内SEが魅力的に見えるのは、請負開発でキツいと感じること・不満に感じていることが少なく見えるためです。
では、”うらやましい”と感じるポイントを説明します。
納期に厳しくなさそう
SIerなど請負型のシステム開発では、とにかく納期が絶対でした。
仕事の発注元であるお客さんの、
「〇月からサービス利用を開始したい。」
という都合は基本的に動かせません。
一般ユーザ向けのサービスを展開している企業では、ホームページやプレスリリースで「〇月〇日からサービス開始!」と大々的に宣伝していることも多いです。
そういった企業から開発を請け負っている案件は、納期に送れるわけにはいきません。
お客さん都合の納期に追われる立場から見ると、社内SEは自社都合で納期を決められるからうらやましいと感じてしまいます。
システム利用ユーザを近くに感じたい
請負開発の現場で働いていると、開発しているシステムの利用者を身近に感じる機会がほとんどありませんでした。
システム開発を発注したお客さん企業がシステムの所有者になるので、一般ユーザやお客さん企業の社員といったシステム利用者と接するのはお客さん担当者です。
たとえば、ユーザからの意見のヒアリングや操作方法のサポートをしたりと、お客さん企業の担当者だとユーザは比較的身近な存在になります。
でも、請負エンジニアはシステム利用ユーザーと直接かかわることはほとんどありません。
もちろん、ユーザと距離が近いからこそのしんどさも今ではわかります。
問い合わせが多いと仕事になりません。
ただしシステム利用者の生の声を感じられず開発だけを行っていると、ユーザを身近に感じたくなってくるものでした。
お客さんから無茶を言われなさそう
ぼくがSIerで働いているときには、
「社内SEは、発注元のお客さんから無茶を言われなくていいな~。」
と感じていました。
請負型のシステム開発では、発注元のお客さん企業からいろんな厳しい注文が来ることが普通です。
たとえば、納期を前倒ししてくれ、この機能を追加で盛り込んでほしい、などスケジュールと利益に影響する要求も少なくありません。
もちろん無茶な要求をさばいていくのもマネージャーの仕事ではあります。
でも、金銭面や戦略、今後の受注とトレードオフで要求を受けざるを得ないこともあるのが実情です。
お客さんからの厳しい要求を受けていると、とにかく要求を出す立場の方がうらやましく感じていました。
請負開発エンジニアより立場が上
請負開発エンジニアから見ると社内SEはお客様。
そのため、必然的に社内SEの方が立場が上になります。
仕様や価格、スケジュールを決めるのも発注元のお客さん企業です。
発注元と請負側という立場の違いが厳しい要求につながってきます。
ワークライフバランスがとりやすそう
請負開発の現場で働いている頃は、社内SEは残業が少なそうだなと考えていました。
請負開発ではお客さん都合で納期が決まるため、複数の案件が重なってしまうと作業量を自分たちでコントロールできません。
過去の案件でも毎週のように納期が続き、残業がふくれ上がった時期がありました。
もちろん、社内SEだからといって必ずしも残業が少ないわけではありません。
ただ自社内でスケジュールをコントロールできるのは、請負SEとの大きな違いです。
ぼくは残業を減らして家族との時間をふやしたかったので、社内SEはいいなと感じていました。
そして実際に社内SEへ転職したいま、残業時間は確実に減りました。
社内SEが人気なのは本当なのか?
社内SEはエンジニアの転職先として人気と言われていますが、はたして本当なのでしょうか。
大手転職サイトのDODAでは、次のような職種別マーケットレポートがまとめられています。
ITエンジニア中途採用マーケットレポートは、DODAに登録いただいた求人・登録者から、下記の職種の登録者動向・求人動向・採用ポイントをまとめたレポートです。
上記のレポートでは、どんな職種で働いているエンジニアがどんな職種に転職したいと考えているかを読み取れます。
本レポートを使って、本当に社内SEが人気なのかを見てみましょう。
エンジニア職でまんべんなくランクイン
結論からいうと、やはり社内SEはエンジニアの転職先として人気があります。
マーケットレポートを見ると、社内SEはいろんな職種のITエンジニアで希望職種の2位にランクインされています。
たとえば、業務系SE/プログラマーの希望職種では社内SEが2位に入っています。
またWebサービス系プロジェクトマネジャー・エンジニアでも同じように社内SEが2位でした。
さすがに全職種で上位にランクインされているわけではありません。
それでもレポートにまとめられている9職種のうち、6職種で2位にランクインされているのは十分人気があるといえます。
今の仕事内容には不満は少ない?
さらにレポートを見ていくと、転職希望者のなかでもかなりの割合の方は仕事内容が転職理由ではないと考えられます。
なぜなら、転職希望職種は全ての職種で今と同じ職種が1位になっているからです。
Webクリエイターやデータサイエンティストでは、7割以上の方が今と同じ職種を希望していました。
せっかく身につけたスキルを活かした転職をしたい、という思いがあるでしょう。
また人間関係や給料など、仕事内容以外に不満があり転職を考えている方も多いと思われます。
競争率が高いのも人気に見える理由
社内SEの求人はほとんどが狭き門です。
社内SEを目指す転職希望者が多いうえに、求人数が少ないため競争率が上がっています。
1社あたりの求人数は少ない
業務SEと比べると、一般的に社内SEの求人数はそれほど多くはありません。
そもそもユーザ企業でも社内SEの人数は少ないものです。
SIerのように常に数百人~数千人ものエンジニアを抱えているわけではありません。
そして常に求人を出しているわけではなく、要員に空きが出たり戦略的に増員する必要がでて初めて求人が出てきます。
社員数も少なく求人が出るタイミングも限定的であるため、必然的に競争率は高くなっています。
実際に社内SEへ転職してみると?
ぼくは本記事を書いている時点で、SIerから社内SEへ転職して2年半ほどがたちました。
希望して転職した社内SEですが、転職前のイメージとは違う点・大変なことも多く経験しました。
以下に例をあげてみます。
- 企画~運用までトータルスキルが必要
- 社内のステークホルダーへの調整
- 自社システム全体を把握しITシステム活用による経営改善を提案
- 利用者からの問い合わせも多い
たくさんある社内業務システムを把握するためには、そもそも会社の業務全体を知らないといけません。
業務全体を知った上で、ITを使って会社が発展するよう提言するための経営的な観点も必要です。
ほかにも資金の面や立場など、請負SEと社内SEではいろんな違いがあるとわかってきました。
詳しくはこちらの記事で解説しています。
請負SEから社内SEへの転職を考えている方はぜひご覧ください。
まとめ:社内SEの人気はつらい立場から逃れたい願望の現れ
社内SEが転職先で人気なのは、それだけ転職元の職種がしんどいからです。
SIerでのシステム開発は、精神的にも体力的にもかなりつらいものでした。
ただし社内SEだから楽というわけではありません。
転職の成功とは、あなたの働き方や考えにマッチした企業・職種で働けること。
”楽をしたいから”ではなく、本当にあなたが望む条件とマッチするかを基準に転職先を探してください。
本記事があなたの良い転職の助けになれば幸いです。
それでは。