「常駐エンジニアってどんな感じなんだろう。」
「転職してもまた常駐エンジニアになるのはイヤだな。」
大手SIerで10年以上働いたHRです。
SIer時代には、常駐エンジニアとしてたくさんの企業へ勤務しました。
本記事の内容はこちら。
- 常駐エンジニアの実態
- 転職での常駐エンジニアの見分け方
常駐エンジニアはお客さん企業のオフィスへ勤務するため、お客さん企業の働き方に影響され働き方をコントロールできません。
本記事では、ぼくの常駐経験の中で一番しんどかった案件を紹介します。
また転職して常駐エンジニアをさけるためのポイントは、派遣登録と事業内容のバランスです。
それではご覧ください。
タップできる目次
常駐エンジニアとは?
「常駐エンジニア」という名の職種があるわけではありません。
客先企業へ勤務(=常駐)して働いているエンジニアを総称して常駐エンジニアとよばれています。
とくに地方の小さなIT企業に多いです。
一方で自社に勤務するエンジニアは自社開発エンジニア、社内開発エンジニアなどといわれています。
社内開発エンジニアや中小企業については、こちらの記事でも解説しています。
お客さんのオフィスで作業
常駐エンジニアは客先企業の社員と同じように、客先に通勤して働きます。
客先企業から給料や手当が出るわけではなく、自社に雇用されたまま決まった案件の客先に転々と派遣されます。
客先からはパートナー会社とよばれていますね。
ひと昔前は協力会社と呼ばれていました。
常駐エンジニアの多くは自社に自分のデスクはなく、自社に戻ることもほとんどありません。
そのため、「どの会社へ就職したんだろう?」となり自社への愛着はわきにくくなりがちです。
会社にはメリットが多い
IT業界に常駐エンジニアが多いのは、派遣元・派遣先企業それぞれにメリットが多いため。
- 派遣元は安定した収入になる
- 派遣先は必要なときだけ戦力を増やせる
常駐エンジニアは派遣先企業と"月にいくら"で契約されるため、派遣元企業にとっては月々の安定した収入が見込めます。
また、社員に客先で働いてもらえば自社でオフィスを確保する必要がありません。
一方で、派遣先企業も社員だけでカバーできない案件を受注できるメリットがあります。
常駐エンジニアの実態『いちばんキツかった案件』
ぼくがSIer時代にいちばんキツかった常駐エンジニア経験は新卒2年目の案件。
- 大規模トラブル案件
- 遠方(飛行機の距離)に長期出張
- 地方の古いビジネスホテル暮らし
- 毎日コンビニ弁当
- まわりに知り合いが誰もいない
普通にまともに働く環境ではありません。心も身体もすさんでいきます。
新卒のころは会社に対して疑問を持っていませんでした。
会社から言われたから頑張らないといけないと思っていましたね。
それが間違いだったんです。
大規模案件のトラブル対応
そのときの常駐案件はある地方工場での大規模なシステム開発。
納期はとっくにすぎていましたが、バグが多発しているトラブル案件で納期が半年以上遅れていました。
いろんな会社からたくさんのエンジニアが集められ、現地でひたすらテストとバグ修正の繰り返しです。
トラブル対応ってマイナスの状態を少しでも0に近づける仕事で、スキルアップにはならないんですよね。
当然まったく楽しくありません。
工場・ホテル・コンビニの往復
トラブル案件なので休日もほどんどありません。
週1であるかないか。日曜日だけどうにか休めるかも、という状態でした。
勤務時間は朝8:00~夜中の2時、3時は当たり前。
ある日21:00に帰っていたら、お客さん社員から「帰るのがはやい。もっと働かないと」と言われたことがありました。。
何かを楽しむ時間もなく自炊もできないため、工場・ホテル・コンビニをひたすら往復する生活です。
たまの休日も息抜きできない
たまに取れた休日も、ただ寝てすごす時間がほとんどでした。
- 平日のつかれを取りたい
- 友達もいない
- 工場が田舎にあり娯楽もない
トラブル案件で集められた環境は基本的にピリピリしています。
他社のエンジニアと遊びにいこう、って感覚にはとてもなれません。
仕事だけになる状態って精神的にしんどくなりやすいんですよね。
詳しくはこちらの記事でも解説しています。
なぜしんどい常駐案件の担当になったのか
きびしくて遠方の案件をアサインされたのは完全に環境のせいでした。
サラリーマンエンジニアは会社からの命令には従わなくてはいけません。
でもはじめから強制的に”行け”というわけではなかったんです。
当時所属していた部署の業績が悪く、担当地域に仕事がありませんでした。
案件が決まらないつらさ
トラブル案件へのアサインを最初に提案されたときには一度断りました。
でも当時は他の案件も全然なくて、つぎの仕事が全然決まらない状態だったんです。
いわゆる待機要員という状態です。
原価はかかるわりに売り上げには何も貢献しません。給料泥棒状態がつらかったですね。
仕事がなくオフィスで雑用と勉強だけをやっている状態が1ヶ月以上続いて、さすがに罪悪感が増してきます。
親の一言で決めてしまった
「会社から言われたなら頑張らないとね。」
最終的にアサインを受けることを決めてしまったのは、親から言われたこの言葉でした。
結果的にはこれが間違いだったんですが、仕事がない状況が続いて追い込まれていたんです。
働き方は自分の力だけでは決められない
サラリーマンエンジニアにとって、働き方はほぼ環境で決まってしまいます。
なぜなら会社員は基本的に自分で担当案件を選べません。
会社の業績や方針によっても大きく左右されます。
ぼくが厳しい常駐案件にアサインされたのも業績のせい。
地域に仕事があれば、会社も出張費もかかる遠くの案件にわざわざアサインすることはありません。
とくに常駐エンジニアはアサイン先の企業にも影響されます。
自分で働き方をコントロールしたいなら、エンジニアを常駐させるビジネスモデルの会社を選ばないことです。
常駐エンジニアを見分ける方法
ポイントこちらの2つ。
- 派遣業登録されているか
- 会社の規模と事業内容のバランス
上記2つにマッチしているIT企業は、常駐エンジニアがメインのビジネスになっている可能性が高いです。
常駐エンジニアはイヤだと考えているエンジニアはたくさんいます。
転職の求人でも2つのポイントを軸に探せば、望まずに常駐エンジニアへ転職してしまうことはありません。
① 派遣業登録は大きなポイント
会社がITエンジニアを客先に派遣するためには「労働者派遣事業」という厚生労働大臣の許可が必要です。
労働者派遣事業登録があるということは、少なくとも社員を派遣している=常駐エンジニアが存在するということ。
労働者派遣事業に登録されているかどうかは、Webサイトの会社情報で確認できます。
② 会社規模と事業のバランス
会社規模が少ないのにやたらと事業内容が幅広い企業も要注意。
たとえばこちら。
- オフィスはビルの1フロアだけ
- その割に社員数が多い
- 事業内容は自治体向け、交通向け、教育業界・・など幅広い
いろいろなユーザ企業にエンジニアを派遣するビジネスモデルなら、社員が多く幅広い案件があっても広いオフィスは必要ありません。
ただしホームページや求人情報はあくまで目安です。実態はIT業界に強い転職エージェントに確認しましょう。
詳しくは以下をどうぞ。
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まとめ:自分の人生は自分でコントロールする
必ずしも常駐エンジニアだからブラックな労働環境というわけではありません。
ただ自分で働き方をコントロールできない分、キツイ状況になりやすいです。
派遣元・派遣先企業のどちらにもメリットが多いので、IT業界ではエンジニア常駐というビジネスモデルは今後も続いていきます。
自分の身を守るにはあなた自身で働きやすい環境を選びましょう。
それでは。