「たくさん持っていると有利なのかな?」
エンジニアが転職をするときによくある疑問が「資格は必要なのか?」というもの。
結論からいうと、かならずしも資格は必要ありません。
むしろ資格より重要なのはあなたの業務経験です。
実際にぼくが転職をしたときには、転職先で直接役に立つ資格はほとんど持っていませんでした。
本記事ではぼくの経験から、エンジニアの転職と資格の必要性を書いていきます。
これから転職を考えているエンジニアの方にお役に立てる内容です。
それではご覧ください。
タップできる目次
エンジニアの転職で資格より大事なこと
エンジニアを採用する側が気にするポイントは、”資格をどれだけ持っているか”ではありません。
大事なのは、あなたのこれまでの業務経験と自社の業務やチームとのマッチングです。
業務経歴書を作って内容を説明できますか?
エンジニアを採用したい会社が興味を持っているのは、応募してきた人のスキルや業務経験。
求人を出している企業は、何らかの理由で人が足りていません。
そしてマンパワーが不足している業務を中途採用で補おうと、スキルマッチする人材を探しています。
エンジニアが転職活動をするときには、これまで行ってきた仕事内容を書き出した業務経歴書を作ります。
この業務経歴書が、欲しい人材とマッチングするか採用企業が判断する材料です。
なお、業務経歴書を作るのは転職活動のときだけではありません。
IT企業が元請け企業の常駐先へ社員を提案する場合にも、業務経歴書を作成し受け入れ側の担当者が確認します。
”元請け”や”常駐”といったIT業界の構造はこちらの記事で詳しく解説していますので、興味がある方はご覧ください。
転職先の業務で活かせるスキルは何か
業務経歴書を作るときには、あなた自身がこれまで行ってきた仕事内容を棚卸しますよね。
転職活動では、これまでの仕事内容の中から転職先の企業でも活かせるスキルを探しておきましょう。
なぜなら、転職時の面接では必ずと言っていいほど「これまでの業務経験を当社の業務にどう活かせるか」を聞かれます。
ぼくはSIerから社内SEへ転職しました。
SIer時代はユーザ企業の社内SEから仕事を発注してもらうことが多かったので、転職先企業との面談では、
「これまでとは逆の立場になるが、発注先側の目線で考えることができる。」
という趣旨の話をしました。
少なくとも、
- これまで経験した業務内容
- 業務経験をどう活かせるか
この2点は押さえておきましょう。
誰かに語れる業務経験を作ろう
求人企業が知りたいのは、あなたがこれまでどんな業務を行いどのように自分の会社に活かしてくれるのか。
転職のための資格取得にパワーをそそぐよりも、いまの環境をフルに活用して業務実績をつみ上げましょう。
エンジニアが転職目的で資格を取る必要はない
医者や弁護士などの国家資格とは違い、IT資格は持っているだけで仕事の役に立つようなものではありません。
取得資格が業務内容と結びついて初めて意味を持ってきます。
例えば同じ資格を持っていても、
”○○の資格をもっています。”
だけだと「へー、そうですか。」で終わってしまいます。
”○〇業務のために○○資格を取り、これだけのプロジェクトに携わりました。”
”仕事の幅を広げるために○○製品の資格を取り、新プロジェクトに参画しました。”
であれば、
「資格が具体的にどう役に立ちましたか?」
「新プロジェクトは成功できましたか?」
と話が広がりますよね。
ただし転職先で明らかに必要になる資格であれば話は別です。
ソフトウェア製品ベンダーに転職するために同社製品の知識を深める資格を取得する、であれば目的が明確なので有効と言えます。
○○の目的で○○資格を取り、○○業務で役立てました、と話せると転職面接でも強みになります。
業務経験は資格取得でも役に立つ
「業務経験があっても資格取得にはあらためて勉強が必要では?」
その通りなのですが、資格取得にも業務経験が必要なこともあります。
それは、資格の中には業務経験を基にした問題が出題されることがあるからです。
たとえば、IPAで実施されている高度技術試験の1つ、システムアーキテクト試験には業務経験をもとにした論文作成があります。
「~について、あなたの業務経験をもとに論ぜよ。」
という趣旨で出題されるため業務経験がなければ記述できません。
論文では、過去に経験した業務内容や工夫した点、方針を判断した理由など具体的な記述を求められます。
とくに高度な資格取得では業務経験は必須と考えておきましょう。
資格コレクターになっても意味がない
目的がないままたくさんの資格を取っても、単なる資格コレクターで終わってしまいます。
資格を集めること自体が目的ならそれでもいいでしょうが、転職を成功させるには資格を多くもっているだけでは意味がありません。
転職前の会社には、実際に資格コレクターになっている社員がいました。
簡単な資格から難易度が高い資格まで幅広い資格をもっていましたが、実業務では仕事が出来るとは言えないレベルです。
いくら資格を持っていても実業務に活かせていなければ、経歴書の資格欄を埋めるだけの存在でしかありません。
エンジニアが資格を取る目的は何なのか?
資格とは、ある分野の知識や技術を持っていることを第三者が証明するもの。
ただしエンジニアの場合、医者や弁護士のように資格がないと出来ない仕事ではありません。
本章では、ぼくが考えるエンジニアが資格を取るべき理由を書いていきます。
特定の製品に必要な知識を得る手段
エンジニア業務で特定の製品をあつかうときは、資格取得は有効な学習方法の一つです。
資格を取ることで、その製品の知識を効率よく学べます。
マイクロソフト製品やオラクルのDB製品あたりが有名どころですね。
忙しい社会人だと何となく勉強しても知識は身につきません。
資格という分かりやすい目標があれば、効率的・体系的に知識を学べます。
基本スキルを維持し最新の知識を得るための手段
エンジニアが一定のスキルを維持していくための手段として、資格取得は有効です。
IT技術の進歩はとても速く、数年たつと全く違う技術が出てきます。
一方で、基本的なIT知識は普段の業務ではなかなか使うことはありません。
かと言って基礎知識を学びたくても、何も基準が無ければどこから勉強すればよいか範囲が広すぎます。
ぼくが尊敬するエンジニアの大先輩も、
「資格を取るのはIT知識を維持するため。」
と言われていました。
何も目標がない状態より、資格という具体的な目標があれば学習にも取り組みやすくなります。
転職時にぼくが持っていた資格は・・
本記事のはじめに、”転職先で役立つ資格は基本情報技術者くらいしか持っていない”と書きました。
でも基本情報技術者の他に、全くIT資格を持っていなかったわけではありません。
例えば、ぼくはMicrosoftサーバ製品の資格を持っています。
ただし転職目的で取ったわけではなく、過去インフラ構築プロジェクトを担当したときに製品スキルが必要になったため資格を取りました。
それでも過去のプロジェクトでは、資格取得で得た知識は大いに役立ちました。
また、ぼくは社内SEへ転職したあとにIPAのシステムアーキテクト資格を取得しました。
目的は次の2つ。
- 上流工程の知識を強化したかった
- ITスキルの知識を維持したかった
社内SEの仕事は企画や要件定義など上流工程が多く、上流工程を主導する立場の上級エンジニア向け資格であるシステムアーキテクトを選びました。
なおシステムアーキテクト合格を目指すなら、こちらのテキストがおススメ。
筆者の実体験をもとにしたコツを解説してくれているため、分かりやすく実践的です。
特に午後II試験(論述式)の小論文では、時間配分や構成のまとめ方など実践的でとても役に立ちました。
まとめ:目的をもって資格をとろう
資格は知識を証明するための有効な手段。
でもエンジニアの転職という観点で考えると、ただ持っているだけでは説得力が薄いですよね。
- 資格で得た知識を役立てどんな業務をやってきたのか
- 転職先で業務経験をどう活かせるのか
大切なのはこの2点。
つまり、資格を業務とリンクできるのか。
資格を持っているだけで転職に役に立つわけではありません。
本記事が転職成功のお役に立てれば幸いです。
それでは。